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【RACE REPORT】ALULA TOUR ALL
レポート
2024.02.06

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【RACE REPORT】ALULA TOUR ALL

大会期間:2024年1月30日(火)~2月3日(土)
カテゴリー:UCI 2.1   ステージ数:5ステージ  総距離:811.2km
開催地:サウジアラビア 出場:18チーム 126名
JCL TEAM UKYOメンバー:小石山本アールカルボーニマルチェッリベゼンティ
GM:アルベルト・ボルピ  監督:マネエーレ・ボアロ

新体制で挑んだシーズン初戦!毎ステージ勇気のあるレース展開を繰り返し、チーム力で岡選手のリーダージャージを獲得!

2024年、ボルピGMとボアロ監督を迎え入れ、イタリアを拠点に新体制となったJCL TEAM UKYO。シーズン初戦はサウジアラビアを舞台としたUCI 2.1カテゴリーのステージレース「ALULA TOUR」に挑戦しました。昨年の「SAUDI TOUR」の名を改めた同大会は、JCL TEAM UKYOが2年連続で参戦するステージレース。ワールドツアー9チーム、プロツアー5チーム、コンチネンタル3チーム、サウジ代表 1チームを含めた全18チーム、総勢126名で行われる全5ステージ 総距離811.2km。個人総合時間賞をはじめ4賞のリーダージャージが設定されています。

イスラムの聖地メディナから北に約300km離れた街アルウラ、多くの遺跡に広大な文明の痕跡があり、最終ステージのスタート地点となるオールドタウンの古い街並みはサウジアラビアの観光の中核として位置付けられています。レースはアルウラを中心に切り立った砂漠地帯へ広がる道路を駆け抜けました。このレースの名物は砂漠の砂を巻き上げる強い風はレースに大きく影響を与えました。

コースは全ステージのうち3ステージがスプリントステージ、1ステージがミディアムヒルのステージ、そして最終ステージが総合上位を絞り込む山岳ステージ。JCL TEAM UKYOはスプリントステージを狙う選手、総合成績を目指す選手、それらをリードしフォローする選手の7名で構成。ボアロ監督の指揮でチームはレースを戦いました。

初日から飛び出し日本のファンを沸かせた山本選手!ゴールスプリントはマルチェッリ選手が7位に入った第1ステージ

≪1月30日(木)Stage 1 Al Manshiya Train Station (149.1km)≫

いよいよ開幕したALULA TOUR 第1ステージ。約150kmのコースは後半の周回に入るとフラットなゴールであることから、スプリンターのマルチェッリ選手をエースに指名し、チームが有利に展開するために序盤からの逃げに山本選手が入ってレースをコントロール、他の選手は山本選手やマルチェッリ選手の動きのフォローに働くという戦略で望みました。

スタートしてすぐにレースが動きます。ファーストアタックで抜け出した4名のメンバーに日本チャンピオンジャージを着る山本選手が入ります。5名の先行グループは向かい風を協力しながら80㎞地点で2分のタイムギャップを稼ぎますが、ややメンバーの脚に疲れが見えた所でグループは分裂。

一方、後方のプロトンではゴールスプリントに向けワールドツアーチームが追走体制に入ります。山本選手が逃げたことでプロトン内でのJCL TEAM UKYOのメンバーは終盤に向け、淡々と纏まった走りを展開してきました。残り30㎞、最後の小周回を前に山本選手がプロトンに捕まると、メンバーがマルチェッリ選手が優位なポジションを作る連携を作ります。特にラスト1周を強力にアプローチするのは小石選手とジョバンニ選手。

Uターンと直角コーナーが続くレイアウトにベストなラインをマルチェッリ選手に導きます。

こうしてマテオ選手はラスト300mのコーナーをレースの最前線に位置することに成功し、一気に横に広がったゴールスプリントに車輪を並べます。

しかし、ワールドツアーチームのスプリンターが揃ったゴール勝負は非常にハードな展開となり、マルチェッリ選手は前方を塞がれて7位でゴールとなりました。しかしながら、山本選手のロングエスケープやゴールスプリトでのマルチェッリ選手の一桁に手ごたえも感じる開幕戦となりました。

STAGE1 Result TOP3

DST 149km Ave 44.9km/h
1   VAN UDEN Casper           3h18’55”
Team dsm-firmenich

2   GROENEWEGEN Dylan +00
JAYCO ALULA       

3   MERLIER Tim                      +00
Sodal Quick Step  

7   MALUCELLI Matteo   +00
JCL TEAM UKYO   

小石選手、岡選手がロングエスケープ、岡選手がモーストアクティブライダー賞を獲得!

≪1月31日(金)Stage 2 AlUla Winter Park›Sharaan Nature Reserve (199.1km)≫

第2ステージは強い風とサファリパークの丘陵地を抜ける長いスパンのアップダウン、そして約200kmの長丁場のレースとなりました。このステージに向けてボアロ監督からのオーダーは「小石選手がブレイクアウェイでレースを動かし、スプリントでチャンスがあればステージ優勝はマルチェッリ選手が狙う。」をターゲットとしました。多くの選手が僅差でひしめいている第2ステージ、厳しい展開が予想される中レースはスタートしました。

レースが動いたのは20km地点のボーナススプリントポイント。この地点を通過後、ペースが揺らいだ隙をついて小石選手を含む5名がリードアウトに成功します。強い追い風でリードを広げ、その差が最大で3分40秒となると、いよいよ暫定のリーダーチームが纏まって追走にかかります。

80km地点を過ぎ、コースの進路が変わると強い風は一気に向かい風となり選手たちを苦しめます。小石選手らを追うプロトンもこの風でいくつかのグループに分断します。しかし、絞られた追走が先頭をキャッチするとスピードが緩みプロトンは一体化。そしてレースは98km地点で動きます。

単発の逃げがグループとなり岡選手を含む5名がエスケープグループを形成。非常に強い向かい風が吹き、後方のプロトンは残りの距離を図り一度ペースダウン、その差は最大で5分40秒まで広がります。

順調に逃げるエスケープグループは123km地点のスプリントポイントへ差し掛かります。すると、岡選手がこれを鋭い動きで捌いてトップで通過、もう一つの160km地点のスプリントポイントを獲ればイエロージャージとして大会で設けられているモースト アクティブ ライダー賞の可能性が見えてきます。

一方、後方のプロトンはゴール勝負に向けてスプリンターを擁するワールドツアーチームが纏まり追走に入る展開。スプリントポイントを前に40秒まで差が縮まるも、リードグループがこれを通過、岡選手が2度目の先着を果たします。

しかし、その直後にレースは振出しに戻り、一気にスプリント勝負への展開の流れが強くなっていきます。登り基調のラスト10kmをハイペースで進行したプロトンは人数を絞りながらゴールへ突き進み、強い牽引から飛び出したウノXのヴァ―レンショルト選手が両手を挙げてレースを制しました。

だいぶ人数が絞られた先頭集団でしたが、個人総合成績(GC)狙いのペゼンティ選手がタイム差なしの30位でゴール。ターゲット通りの活躍を魅せました。

モーストアクティブライダー賞のジャージを手にした岡選手

STAGE2 Result TOP3

DST 199.2km Ave 42.352km/h
WÆRENSKJOLD Søren    4h42’04”
UNO X

MULUEBERHAN Henok +00
ASTANA  

EEKHOFF Nils                     +00
TEAM DSM

30    PESENTI Thomas    +00
JCL TEAM UKYO        

小石選手がエスケープで展開するも、ワールドツアーの厳しい洗礼を味わったステージ

≪2月1日(土)Stage 3 AlUla International Airport ›AlUla Camel Cup Track (170.6km)≫

第3ステージはやや平坦基調の170㎞。総合上位が僅差で並ぶことから後半の熾烈な展開が予想されます。また、この日は前日活躍した岡選手がMost Active Rider のイエロージャージを着用しての出走となりました。ポイントが加算されるスプリントポイントは16.4㎞ / 51.8km地点と前半に設置されていることから、ここに向けての流れも含めてチーム内でミーティングが行われました。内容は進行方向が変わると大きく変わる風向きを把握しレースに備え、ペゼンティ選手の総合成績を守りながら、ポイントがかかる岡選手のスプリントポイントへのフォローとスプリントではマルチェッリ選手で勝負をするというプランとなりました。

スタートすると16.4km地点のスプリントポイントに向け岡選手が抜け出しを図ります。しかし、同点で並ぶ選手とこの賞を狙っているチームの執拗なマークに抜け出すのが困難な状況が続きます。そして、このカウンターで飛び出した2名に小石選手がここに対応し3名のリーディンググループが形成されました。プロトンとは最大で5分差を付けたこの3名は2度のスプリントポイントを通過した事でポイントを奪取し、岡選手を逆転してしまいます。

残るはマルチェッリ選手のスプリント勝負の為、ポジション争いに加わります。

しかし、レース終盤は狭い道路を抜ける区間でハイスピードのまま縦に伸びたプロトンに追い打ちをかける強い横風、ここでプロトンの分断が起きるとスプリンターのマルチェッリ選手と総合上位のペゼンティ選手を含めたメンバーは35位集団に取り残されてしまいます。必死の抵抗を見せますが力及ばずその差は開き、ゴールでは55秒のタイムギャップが開きレースを終えることとなりました。

STAGE3 Result TOP3

DST 170.6km Ave 42.6km/h
1  MERLIER TIM        3h59’52”
Soudal – Quick STEP

2  DE KLEJIN ARVID      +00
TUDOR PRO CYCLING   

3  VAN UDEN CESPER           +00
DSM-Firmenich

50    PESENTI Thomas     +55
JCL TEAM UKYO        

岡選手が飛び出しモーストアクティブライダー賞を奪還!

≪2月2日(日)Stage 4 Hegra›Maraya (142.2km)≫

第4ステージはALULAを代表する古代都市 HEGRAをスタート地点に、オープニングセレモニーが行われたMARAYAをゴールする142.2km。70km程の大周回を1周した後、半周コースを重ねてゴール地点を一度通過する小周回を1周するというレイアウト。昨年度はこのゴール勝負においてマルチェッリ選手が2位になっていることから、チームの作戦としても彼をゴール前に前方へエスコートする役割を最重要のテーマに、僅差でトップに並んでいる岡選手のモーストアクティブライダー賞の獲得を目指しました。

スタートすると21km地点のスプリントポイントに向けてすぐにレースが動きます。16km地点でで岡選手の5名が抜け出します。しかし、このリーディンググループは同賞を狙っていることから、協調体制が築けず岡選手がスプリントポイントまでをリードする苦しい展開となりましたが、スプリントポイントの結果岡選手は2位通過を果たします。

その後、岡選手の逃げが吸収されるとスプリンターのマルチェッリ選手を守るメンバーは固まって40位前後のポジションをキープするという作戦でレース後半に備えます。100㎞地点までの平均時速は45km/hと高速で展開していき、残り30kmを切るとプロトンは各チームがスプリントトレインが組まれスピードが活性化します。

JCL TEAM UKYOもトレインで集団前方にポジションを固めますが位置取り争いは激化、ラスト400mの登り坂、先行するクイックステップ メリエール選手がコフィディスのコクァード選手の捲りを押し切り優勝。縦にばらけたゴールスプリント、健闘したマルチェッリ選手でしたがゴールは12位で迎えました。

チームとしては結果を残すことはできませんでしたが、ワールドチームのスプリントへの展開に必死に戦いを挑みました。そして、この日前半を果敢に動いた岡選手がモースト アクティブ  ライダー ジャージを奪還することに成功しました。

STAGE4 Result TOP3

DST 141.2km Ave 44.19km/h
MERLIER TIM         3h11’43”
Soudal – Quick STEP

COQUADO Bryan      +00
COFIDIS  

VAN UDEN CESPER           +00
TEAM DSM-FIRMENICH

12    MARCELLI MATTEO    +03
JCL TEAM UKYO           

チーム一丸となって戦った第5ステージ、岡選手がジャージを死守。ペゼンティ選手がUCIポイントを獲得!

≪2月3日(月)Stage 5 (Final) AlUla Old Town›Skyviews of Harrat Uwayrid (150.2km)≫

第5ステージはアップダウンと終盤に総合成績が入れ替わる登りを含めたレイアウト。特に残り13kmのレイアウトは注目で、5㎞で獲得標高450m登る激坂の後吹きさらしのストレートを8km走りゴールを迎えます。クライム能力とスピードを求められるコースとなりました。

JCL TEAM UKYOはクライマーのペゼンティ選手をエースに、前ステージでモースト アクティブ ライダージャージを奪還した岡選手のジャージキープを狙うステージとなりました。岡選手はポイント争いが僅差に6名居るため、57.6km/107.kmに設置されたスプリント賞に向けた動きにしっかりと対応してポイントを奪取する必要がありました。

レースはポイント賞には関わらない2名の選手の飛び出しに小石選手ともう一名が追いつき4名の展開。そこに更にブリッジに成功した2名のうちの一人が最初のスプリントポイントを制し、岡選手をポイントで逆転してしまったことで、最終のスプリントポイントを奪取するためにチームメンバーの強力なフォローでレースが展開することになりました。

スプリントトレインを組んで迎えた決着は岡選手に軍配があがり、ゴールの着順次第でジャージを守る状況を作り出しました。

レースの総合成績がひっくり返る最終13kmの登り区間、総合を狙うクライマーたちが一気に前方に集結します。残り10km、15%を越える登りの連続にリーダージャージを着るクイックステップのメリエール選手が脱落、間もなく岡選手も脱落してしまいます。しかしポイント同点の選手はすでに遅れていることからトラブルがなければジャージを獲得できる状況になりました。

前方ではクイックステップ レセルフ選手が急勾配をものともしない高ケイデンスで強烈にリードをはじめます。この動きに30名ほどの先頭集団は崩れ、ペゼンティ選手も20番手あたりで必死に登る展開となります。レースはこの動きに乗り切った3名によるスプリントとなり、ジャイコアルウラのヤテス選手がスプリントを制し優勝、総合優勝も手中にします。3名がゴールして34秒後、ペゼンティ選手とカルボーニ選手、アール選手が12位集団でゴールし、ペゼンティ選手の総合成績を23位と少し上げる結果となりました。

そして45位で岡選手がゴール、見事にモーストアクティブライダーのオレンジジャージを手中に収め全5ステージ 総距離811.2kmのツアーを走り切りました。

STAGE5 Result TOP3

DST 150.2km Ave 44.03km/h
YATES  SIMON         3h24’37”
JAYCO ALULA

LECERF WILLIAM     +00
Sodal Quick Step

FISHER  FINN                     +00
UAE TEAM EMIRATS

23  PESENTI Thomas      +1’34”
JCL TEAM UKYO     
   

ボルピGMコメント

シーズン開幕戦となったALULA TOURは、毎ステージ勇気のあるレース展開を繰り返し、チーム・スタッフ全員が最後まで集中力を絶やさずに戦ってくれた。モーストアクティブライダー賞のジャージを守れたのは我々にとって名誉あること。次につながる戦いが出来たと思う。

ボアロ監督コメント

初顔合わせからはじまったステージレースでしたが、それぞれがリスペクトし合える良い関係、日に日にそれがチームの連携の良さに繋がったと思います。岡選手のジャージ獲得は私たちの最初の成功と捉えることができるでしょう。

総合成績 TOP3

YATES  SIMON         18h37’05”
JAYCO ALULA

LECERF WILLIAM     +03
Sodal Quick Step

FISHER  FINN                     +03
UAE TEAM EMIRATS

23  PESENTI Thomas      +1’52″  UCI3P
JCL TEAM UKYO     

Most active rider ジャージ OKA Atsushi

ALL RESULT

TEAM 総合成績 TOP3

1   BORA  Hansgrohe

2   UAE Team Emirates 

3   JAYCO ALULA

10 JCL TEAM UKYO